fc2ブログ
TOP > 恣意的報道 > 麻生首相がドイツを名指しで批判?

麻生首相がドイツを名指しで批判? 2009.04.02

麻生首相がドイツを名指しで「批判」
2009.4.2 09:38
 【ロンドン=藤沢志穂子】1日付の英フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで麻生太郎首相が、追加の景気刺激策に消極的とされるドイツを、名指しで「批判」したことが波紋を呼んでいる。

 インタビューは第2回主要20カ国・地域(G20)金融サミットでの訪英直前に東京で行われたもの。同紙によると、麻生首相は景気刺激策の需要性について「理解している国とそうでない国がある。ドイツがそれに当たる」などと発言、わざわざG20の亀裂を表面化させたとしている。

 追加の財政出動では、米国が国内総生産(GDP)比2%規模の数値目標を設けることを主張しているが、財政の悪化や通貨の信認低下に対する懸念から、ドイツをはじめ欧州が反発していた。

 発言の真意について外務省幹部は「バブル崩壊後の日本の経験を踏まえ、景気刺激策の重要性を欧州にも理解してほしい、という発言。ドイツを批判しているわけではない」と釈明。ただ今回のサミットは、各国の温度差をいかに取りまとめるかが焦点だけに、取り組みに水を差すことにもなりかねない。
~MSN産経ニュース~



ま た 切 り 張 り か

比較的真っ当と言われる産経ですが、やはりこういった記事もありますね。
もはや会見の全文をちゃんと見るのは基本です。
そうしないとマスゴミの恣意的報道に流されてしまい、ミスリードを起こしたままになってしまいますからね。

歩調を合わせるようにして毎日も次のような記事を出しています。

<独首相>麻生首相発言に不快感 「追加的な財政出動慎重」
4月2日11時38分配信 毎日新聞

 【ボン小谷守彦】金融サミットを控えた麻生太郎首相が1日付英紙フィナンシャル・タイムズとの会見で、追加的な財政出動に慎重なドイツを批判したことについて、メルケル独首相は同日、「我々の見解ではドイツは多大な貢献をしている。(現在進めていることがらを)性急に進めようとするのは、本当に無意味なことだ」と不快感をあらわにした。

 麻生首相の発言は「日本がメルケル(独首相)の経済政策を攻撃した」(電子版ウェルト紙)などとメディアをにぎわせていた。


さて、では本当のところはどうなのでしょうか?
フィナンシャルタイムズが出している記事の訳文を見てみましょう。

(前略)
FT: 首相が冒頭で指摘された財政出動の重要性についてお聞きします。一部の国家首脳は、ここでは特にドイツ首相を念頭においているのですが、「今はすべての国が金を使うべきではないし、国によっては支出が多すぎる」と問題提起しています。日本は財政出動を増やす責任があるとお考えですか? そして、具体的な数字は言えないでしょうが、日本がある程度の財政出動を実施すれば、日本経済の状態について諸外国を安心させられると思いますか?

麻生:日本のバブル経済が崩壊したのは1990年代初めのことです。あのとき、日本の6大都市で地価は87%も下落しました。当時の政府は金利引き下げに尽力し、実際に日本銀行は景気刺激策として金利をゼロ近くまで下げましたが、効果はなかった。なぜかというと、地価下落や資産価値下落で、多くの企業が倒産してしまったからです。その結果、企業は経営方針を利益の最大化から負債の最小化と転換せざるを得ませんでした。

日本企業は長い間、銀行融資の返済を最優先課題にしていたため、銀行から資金を借りて設備投資するわけにいきませんでした。ゼロ金利なのに融資を受けようとしない企業が設備投資をするなど、そんな発想の経済学の本など読んだこともありません。

企業がひたすら銀行に負債を返済していったおかげで金融機関に余った余剰資金を、日本政府が年間20兆円とか30兆円規模で借りていきました。そして経済状況が悪化する中、政府は財政出動の形でその借金を使っていったのです。おかげで1992年以来というもの、景気情勢は悪化しても、日本のGDPは500 兆円を下回ったことがありません。

過去15年間の経験のおかげで、私たちはどういう対策が必要か承知しています。それに対してアメリカや欧州各国にとっては、今回のような経験は初めてかもしれない。財政出動の重要性を理解している国もあれば、理解していない国もあって、だからドイツは(財政出動に消極的な)発言をしているのだと思います。

また欧州にはマーストリヒト条約(欧州連合条約)があるわけで、英国は採択していない部分があるからこそできることがあるし、もしかしたら採択しているからこそドイツにはできないこともあるのかもしれません。



さすがに長いので全文掲載はしませんが、ぜひ読んでみてください。
相当勉強してないと、あんな風にさっと答えることは出来ないと思いますね。

麻生太郎首相、単独インタビュー G20内の分裂を浮き彫りに――フィナンシャル・タイムズ
フィナンシャル・タイムズ2009年4月1日(水)21:15
(フィナンシャル・タイムズ 2009年3月31日初出 翻訳gooニュース)

世界で唯一バブル崩壊を経験している日本は、財政出動をして世界規模で経済の流動性を保とうと言うのを経験則から世界に発信しているわけですが、それに対してドイツの首相は「いくらなんでもやりすぎだろ」と言ってるわけですね。
つまり、「ドイツのその発言に対して麻生首相はどうお考えですか?」というのが今回のFTの質問の趣旨です。

それなのに日本のマスゴミときたら…

また一部分だけを抜き出して麻生批判に繋げようと言う恣意的な報道としか見えない記事です。
幸いなことに私は全文を読むだけの時間があったので良かったですが、そんな事に時間を割いている暇のない人だっています。
そういう人たちの為にも、分かりやすく公平な報道がされるべきです。

本来ならばこのニュースは

<麻生首相>ドイツの財政出動拡大に対しての問題定義に回答
31日、金融サミットを控えた麻生首相はフィナンシャル・タイムズの取材に対し、メンケル独首相が発言した財政出動拡大への慎重意見への日本としての立場を表明した。

麻生首相は「 過去15年間の経験のおかげで、私たちはどういう対策が必要か承知しています。それに対してアメリカや欧州各国にとっては、今回のような経験は初めてかもしれない。財政出動の重要性を理解している国もあれば、理解していない国もあって、だからドイツは(財政出動に消極的な)発言をしているのだと思います。
また欧州にはマーストリヒト条約(欧州連合条約)があるわけで、英国は採択していない部分があるからこそできることがあるし、もしかしたら採択しているからこそドイツにはできないこともあるのかもしれません。 」と、欧州事情を考慮しつつ唯一のバブル崩壊経験国としての姿勢を強調した。



と言った感じにされるべきであり、「麻生首相が批判しました!!」なんて小学校低学年が先生に言いつけてるようなものの言い方をすべきではない
しかしそれがスタンダードになってしまっている記者からすれば、私の出した見出しのような記事などゴミ以下で、絶対にボツにされてしまう事でしょうねw

もう毎度の事なので苦笑いになってしまいますが、それでもやはりこういった報道姿勢を許すことは出来ません。
一体いつになったら、日本のマスゴミから濁りが取れてマスコミになってくれるんでしょうか?
スポンサーサイト



コメント

FTの姉妹紙である"The Economist"にもきてますね(http://www.economist.com/finance/displaystory.cfm?story_id=13401931)。

「ドイツが公共投資を積極的に行うことに消極的なのは、財政出動に対する重要性への理解を欠いていることに起因する」

こっちは、「Japain」特集でもわかるとおり、日本に対して厳しい記事を書くので、記事そのもののテーマと相まって、対立を煽るようなものとなっています。

まあ、criticisedやattackedと書かれていないので、日本のそれほど恣意的なものは感じられませんが^^;

2009.04.02 | URL | Archer #/02qLiNA [ 編集 ]

初めまして。お邪魔します。

初めまして。よく愛読させていただいております。勉強もさせていただいております。ありがとうございます。
この麻生批判に繋げようとするかの日本メディアの記事には私もあきれています。
さて、4月3日のFT誌に下記の記事が載ったのですが、私の未熟な読解力では、やや日本は批判されているような気がするのですが、これはどう解釈されますか?

*************************

Japan proves folly of stimulus plan

From Prof Richard A. Werner.

Sir, In his interview with the FT (April 1), Taro Aso, Japan's prime minister, claims that "because of the experience of the past 15 years", Japan knows what is necessary to stimulate the economy: "I think there are countries that understand the importance of fiscal mobilisation and there are some other countries that do not - which is why, I believe, Germany has come up with their views." In other words, Mr Aso is asserting that it is out of ignorance of the facts, especially concerning Japan's fiscal experience, that the German leader objects to further fiscal stimulation. A bit rich, I think, coming from the leader of a country where for almost two decades government and central bank have failed to create a sustainable recovery.

2009.04.03 | URL | bngnq657 #JalddpaA [ 編集 ]

>>Archerさん
こういう時英語に強いのは正直羨ましいです><

日本ほどじゃなくても、ちょっとあげつらった感じのする記事のような気もしなくもなくもないかもしれなくもないかもしれないかもしれない。
って感じですかねぇw
それでも日本のものよりもずっと冷静に見えてしまうから不思議ですわぁ…。

>>bngng657さん
初めまして。
二番煎じ三番煎じ内容の当ブログに勿体無きお言葉、感謝感激です。

3日付けのFT紙の記事ですが、私の拙い読解力でも同様の感想です。
「A bit rich~」からの一文が記者の感想だと思いますが、端的に言えば「未だバブル崩壊を引きずっているような政府の代表が何言った所で大した意味ないんじゃないか?と俺は思うわ」と言っているように思えます。
エキサイト翻訳なんて使って読んでいるので、正直自信は余りないのですが…。

上のArcherさんが職業翻訳家なので、彼の訳も期待したい所です。


と言う事で、Archer先生お願いします!w

2009.04.06 | URL | キョウシュウ #- [ 編集 ]

大学教授の寄稿ですね。

さすがに全文はしないですけど、タイトルと最後の一文に言いたいことが集約されているかと。

「20年間も政府・中央銀行(日銀)が持続可能な(経済の)復活をこれまで実現できていない国のリーダーにしては立派な言のように思われる」

皮肉ですね。スタンスとしては、財政出動に反対というよりも、タイトルの表すとおり、「愚行」と見ています。

2009.04.08 | URL | Archer #vwlpb/gw [ 編集 ]

>>Archerさん
さすがプロは一味も二味も違いますね。
見事すぎてドキドキしちゃいました><*

日本ほど国のトップがコロコロと替わる国も珍しいから、その辺を加味できていない記事ではあるものの、シニカルに事実を言っている所がポイントですね。

あと数年後、経済対策の結果が現れ始めてきた時にどういった反応を見せてくれるのかがちょっと楽しみになりました^^

2009.04.09 | URL | キョウシュウ #- [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL:
«  | ホーム |  »